【初心者でも簡単】家庭菜園の土づくりを解説!肥料の選び方や手順も。
お家の庭に畑を作って家庭菜園に挑戦してみたいんだけど、土ってどうすればいいんだろう??栄養とか肥料とかよくわからないな???
今回はそんな方に向けて、初心者さんにもわかりやすく、家庭菜園での土づくりについて解説します!
石灰・堆肥・肥料についても解説するので、是非参考にしてみてください!
家庭菜園における「よい土」とは?
家庭菜園や畑づくりをしていると、よく「ふかふかの土はよい土だ」という話を聞くと思います。
ではこの「ふかふかの土」とは一体どんな土なのでしょうか?
専門的な言葉で言うと「団粒構造の土壌」と言ったりします。
小さな土のかたまりが集まって「団粒」という状態になります。
一つ一つの団粒は水分を保持することもできるので保水性がよく、その団粒が集まっている状態は、水や空気の通り道も確保されているので、
- 通気性が良く
- 保水性が良く、水はけもよい
- 水に溶けた肥料も蓄えられる(保肥力が高い)
という、野菜の栽培にはぴったりの土の状態になります。
団粒同士のすき間は、植物の根も張りやすいので大きく成長を促すこともできるんですね。
この「団粒構造の土壌」ができるには、土の中の微生物が堆肥などの有機物を分解して小さな土のかたまり同士をくっつけ団粒を作っていきます。
ご自身の畑の土の状態をしっかり把握して「ふかふかの土」を目指して土づくりをしていきましょう!
現状を把握しよう
畑を作る前に「土壌診断」をするのをおすすめします。
「土壌診断」をすることで、これから畑にする場所の土の状態を把握することができ、美味しい野菜を育てるために何をするべきかもわかったりします。
土に含まれるすべての養分を分析するためには専門の分析機関に調査を依頼する必要がありますが、家庭菜園で趣味や自分の食べる分を栽培しているのであれば、簡易な検査キットなどを使うと便利です。
肥料の三要素である「窒素」「リン酸」「カリウム」の量を把握したり、土壌のpHを測定することで、土壌の養分の傾向を掴むことができます。
自分でできる土壌診断
土壌診断のためにpHやECを測定することで、現状の土の目安をすることができます。
- pH(水素イオン濃度)…土壌が酸性(pH7より低い)かアルカリ性(pH7より高い)がわかる
- EC(電気伝導度)…土壌にある肥料分(窒素)の含有傾向を数値で表したもの
簡易土壌診断キットやコンパクトメーターなどを使用することで、家庭菜園でも簡易的に土壌診断をすることができます。
測定した数値の結果によって、それぞれに適した対策をおこなっていくことで土壌改良をして行くとよいでしょう。
- 低pH・低EC…栄養失調状態:堆肥などの有機物と肥料を積極的に
- 高pH・低EC…石灰を与え過ぎている:硝酸系の肥料を使う
- 低pH・高EC…窒素肥料が過剰:水を溜め、排水。過剰な窒素を洗い流す
- 高pH・高EC…石灰や肥料を与え過ぎている:水を溜め、排水。無肥料栽培する
これらを行わないまま「とりあえず石灰まいておく」という方が意外に多いんです。
これらを測定しておくことで本当に石灰をまく必要があるのか?他にするべきことはなにか?などを判断する目安にもなりますよね。
もともと日本の土壌は火山性の土壌で酸性気味です。植物も弱酸性くらいを好む植物が多かったりします。
また、植物によって好みの酸性度があります。
一般的な植物は弱酸性を好む者が多いですが、ブルーベリーはさらに酸性が好きです。ほうれん草は中性くらいを好みます。ラベンダーは弱アルカリ性を好みます。
ご自身が育てる作物に合わせて土の酸性度を調整していくようにしましょう。
参考)好適土壌pH
酸性(5.0~5.5) | 弱酸性(5.5~6.0) | 微酸性(6.0~6.5) | 中性(7.0) |
---|---|---|---|
ジャガイモ | パセリ | トマト | ホウレンソウ |
ブルーベリー | サトイモ | ナス | タマネギ |
トウモロコシ | キュウリ | アスパラガス | |
ダイコン | ニンジン | ビーツ | |
スイカ | キャベツ | ||
サツマイモ | レタス | ||
カボチャ | |||
イチゴ | |||
ピーマン | |||
エダマメ | |||
スナップエンドウ |
肥料の種類
肥料は大きく2種類に分けられます。有機肥料と化学肥料です。
これらは原料と製法が違ってきます。
化学肥料とは
化学肥料とは、化学的な工程によって無機質原料から作られた肥料です。
化学肥料の中でも
- 単肥…肥料の三要素(窒素・リン酸・カリ)の内1種類しか含んでいないもの
- 複合肥料…肥料の三要素の内2種類以上含んでいるもの
などがあります。
単肥を使い、元々偏っていた土壌の栄養を補填することもできます。
化学肥料の多くは、速効性がありすぐに効き目を感じることができます。
有機肥料とは
有機肥料とは、動物や植物などの有機物を原料とした肥料です。
有機肥料の中にも
- 油かす
- 動物の糞
- 米ぬか
- 落ち葉や枯葉
など様々な種類があり、それぞれに多く含まれる三要素の割合は違っています。
有機物を土の中にいる微生物が分解することで、土壌の団粒構造を生み出しやすくなり、持続性の高い土作りに寄与します。
ただし即効性は低く、時間をかけてじっくり効いてくる肥料です。
有機肥料と化学肥料、どっちがいいの?
有機肥料の方が天然の物を使っているし良い物なんじゃないの?
そう思われがちですが、有機肥料・化学肥料ともに性質の全く異なる肥料ですので、どちらが良いという物ではありません。
ご自身の栽培環境や土の状態に合わせて肥料を選んでみたり、元肥として有機肥料を使いつつ追肥に化学肥料を使ってみるなどのハイブリット使用もありです。
肥料の自由度が高いのも家庭菜園のメリットなので、いろいろ試してみるのも面白いと思いますよ!
植物によって肥料を吸う量や要求量が異なったりします。
さつまいもを毎年作るけど、ツルは立派なのに芋が小さい等の経験はありませんか?
サツマイモに窒素系の肥料を多くあげると「ツルぼけ」という状態になり芋よりもツルが繁茂してしまいます。
土壌と作物によって肥料の相性なども変わってくるので、ご自身の畑にとってどの肥料を選んでどのくらい与えればよいか等、試してみてくださいね。
(目安となる施肥量は下記に記載しておきます。)
家庭菜園での土づくりの手順(畑の場合)
初心者さんでも取り組みやすいように、家庭菜園での土づくりを順を追って説明します。
土づくりを始める時期
土づくりを開始する時期ですが、だいたい作付けの1カ月くらい前から始めるのが良いでしょう。
石灰や堆肥を混ぜる場合は、それぞれ土に馴染ませる期間を設けたいので、それらを考慮しても1ヶ月くらいかかります。
土づくりに必要なアイテム
土づくりをする際に必要なアイテム(道具)を紹介します。
スコップ・シャベル
土を掘り起こしたり、穴を掘ったりする際にシャベルやスコップを使います。
地域によって「大きい方=シャベル、小さい方=スコップ」「大きい方=スコップ、小さい方=シャベル」と言い方が違うそうですが、JIS規定では
- 足をかける部分があるもの=シャベル
- 足をかける部分がないもの=スコップ
と定義されています。
一気に土を掘り返したい時はシャベルを使い、石や雑草を取り除くなどの細かい作業の時は小さなスコップを使う、など、両方あると作業が捗りますね!
鍬
鍬(くわ)は、
- 畑を耕す
- 畝を作る
- 肥料を混ぜ合わせる
などに重宝します。
鍬にもたくさんの種類がありますが、ひとまずは平鍬を用意しておけばよいでしょう。
庭先で作る数株の家庭菜園であれば「片手鍬」の様な小さいサイズも使いやすいです。
レーキ
レーキはくしのような形状で、土をならしたり落葉や雑草を効率よくかき集めることができる道具です。
小学校などにある掃除用具の「熊手」もレーキの一種です。
掘り起こした土に混ざり込んでいる石や雑草をかき集めたり、鍬で畝を作った後に土をならしたりする時に活躍します。
pH測定器
土壌診断をする際にも使いますが、追肥などを施す際にもあると便利なのがpH測定器です。
土に挿して簡単に計測できるものもあるので、一つ持っていくとよいですね。
土壌診断する
まずは土壌診断をしましょう。
簡易土壌診断キットやコンパクトメータはホームセンターやネット通販でも購入することができます。
シャベルで土を掘り起こす
畑として使用する部分の土を耕していきます。
初めて畑に使用する場合は、シャベルを使って20~30cmの深さまで掘り返していきましょう。
しっかり深く掘り返すことで、作物も根を張りやすくなります。
鍬で耕して土粒を細かくする
鍬を使って更に耕していきます。
掘り起こした際にたくさん土のかたまりができると思うので、これらを砕いて土粒を細かくしていきます。
大きな石やゴミなどが出て来た場合は、取り除いていきましょう。
土壌診断の結果から、必要なら石灰をまく
土壌診断の際に、pHを測定していますよね。
その値がこれから育てる作物の適正pHであるかどうかを見てみましょう。
ちなみにトマトの場合は6.0~6.5の微酸性が適正pHです。
石灰にもいくつか種類があり、種類によってpHを1.0あげるために施す量も変わります。
下記の表に主な石灰の使用料目安をまとめてみましたので、参考にしてみてください。
石灰の種類 | 1㎡あたり施肥量 |
---|---|
消石灰 | 1㎡あたり約80g |
苦土石灰 | 1㎡あたり約100g |
かき殻(有機石灰) | 1㎡あたり約130g |
始めに測定したpHと、ご自身の畑の広さ・使う石灰の種類を考慮して、しっかり計算をしてから石灰をまくようにしましょう。
土のpHが5.0で、畑の大きさが1m×3m、苦土石灰を使う場合は約300gまくと、6.0に近づけられるということですね
消石灰>苦土石灰>かき殻(有機石灰)の順番にアルカリ成分が多く含まれ、効き目が早いです。
まく際はできるだけ畑に均一にまくようにしましょう。
さらに、風のない日にまくのもおすすめです。
粉末タイプの石灰は結構風に舞います。
せっかくまいた石灰が飛んでいくともったいないですし、なにより近隣に迷惑をかける場合もありますので、十分注意して行いましょう。
石灰をまいて耕したら、2週間~1カ月は土に馴染ませる期間をおきましょう。
消石灰は堆肥や肥料と一緒に入れてしまうと、窒素と反応しガスが発生して、窒素が抜けていってしまうので注意です。
苦土石灰は消石灰に比べて反応は穏やかですが、一応土に馴染ませる期間は空けておく方がよいですね。
かき殻(有機石灰)は、期間を空けなくても大丈夫ですが、一番効き目が遅いです。
なので初心者さんには苦土石灰をおすすめします。
堆肥を投入してよく混ぜる
石灰をまいて期間を置いたら、次に堆肥を入れていきます。
堆肥とは、動物のふんや落葉や木の皮などの有機物を微生物が分解・発酵してできる土壌改良資材のことです。
堆肥を土に入れてまぜることで、微生物の分解を促進し、よりふかふかで作物が根を張りやすく成長性しやすい土を作ることができます。
つまり「団粒構造」を作るのにとっても大切ということです!
堆肥は「完熟堆肥」を使うようにしましょう。
1㎡あたり2・3kgを目安にまいていきましょう。
肥料を施す
肥料は、窒素・リン酸・カリウムからなる、植物の栄養となるものです。
堆肥でふかふかになった土は、肥料の栄養をしっかり保肥してくれます。
1㎡あたり100gを目安にまいていきましょう。
土をしっかりまぜ込んで2週間ほどおく
堆肥と肥料をまいた後は、鍬などを使ってしっかり土にまぜ込んでいきます。
そして、作付けまで2週間ほど置いておきましょう。
すぐに作付けしてしまうと、肥料分が作物の根に当たってしまい障害を起こす可能性が高まります。
肥料分がしっかり土に吸収されてから作付けを行うことで、作物に栄養を行き届くようにしていきましょう。
まとめ:家庭菜園での土づくりポイント
- 現在の畑の土の状態をしっかり把握しよう!(土壌診断)
- 団粒構造の「ふかふかの土」を目指して、ご自身の畑に適正な石灰・堆肥・肥料を施肥していこう!
- 土づくりから作付けまでは1カ月くらい期間に余裕をもって取り組もう!
家庭菜園がなかなかうまくいかない方の話を聞いていると、ご自身の畑の土壌のことがよくわかっていない方も多いです。
土づくりから一つ一つ丁寧にやっていけば、きっと美味しい作物ができますので、是非チャレンジしてみてくださいね!
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